音楽大学など芸術系学校卒業生のその後の進路のひとつに、音響関係やコンサートホール等の専門スタッフとして就職するという道があります。
また、演奏を鍛錬したという人の多くは、音楽教室の講師として大手音楽教室に就職(登録)しています。
しかし、登録している講師数が多いので、これだけではなかなか職業として成り立たないのが現状です。
そのためほかの仕事と掛け持ちにしている人が多数です。
音楽関連の企業は、ほかに音楽雑誌を扱う出版、レコード会社の営業や広報、楽器店への就職などの道があります。
ただ、いずれも間口が狭く人員が余っているので、ほかになにか秀でた能力と組み合わせてアピールすることで就職に結びつくといった感じです。
その他の就職先としては、警察や自衛隊、警備会社のブラスバンドメンバーになるというものもあります。
ただしこれは公務員試験に合格したり、身体的条件も揃っていないと、試験をパスできません。
話を戻して、楽器店への就職では、販売や事務などの一般職として就職するパターンがほとんどです。
特殊技能を身につけるために、専門学校に通学して技能を身につけるという方法もあります。
たとえばピアノの調律師、楽器修理などがそれにあたります。
この場合は楽器メーカーや販売店への就職を目指す形になります。
このように、音楽関係の職業はじつに多彩ながらも、ニーズが少なく、その仕事だけで高額のお給料を得るのは難しいものが多いです。
演奏家として大成する人は、音楽を学んだ人のなかでもごくひとにぎりの人たちなので、たいていは今挙げたような職業に就職しています。
さらに少数になりますが、小学校、中学校などの音楽教師という道もありますが、こちらも人材が飽和状態で、教員採用試験の競争率はひじょうに高いです。
いくつもの仕事をかけもちしている人が多いため、はっきりと「就職・転職」と区切りが見えないのも音楽業界の特徴です。
よほど大きな企業への就職を果たさなければ、一生を同じ会社で過ごすということも難しいのが現状。
ただ、音楽系の学歴がまったくなくてもチャンスがあるのがこの業界です。
身体的な条件はある程度要求されますが、たとえばピアノ調律師へ転職するのに必ずピアノが乗ずに弾けないとだめなのか、と言えばそうではないのです。
訓練が必要ですが、楽器が好きで集中力と根気があれば、音楽を専門に学んでいなくてもピアノ調律師になることは可能です。
そういう意味では、一般の会社から音楽関係への転職というのはあり得る話なのです。
音楽関係の仕事の多くは「技術職」「専門職」なので、ひとりでこつこつ頑張るほうが向いていると感じる人には音楽関係への転職をおすすめします。
ただし転職するにあたっては、訓練のための時間的、経済的余裕をもって臨み、その後高額のお給料は期待しないというスタンスのほうが良いでしょう。
本当に「好き」でなる職業という雰囲気がありますので、安易に音楽関係への転職をしようと考えても、厳しい協奏が待っています。
給与面では良くないように書いてしまいましたが、「やりがい」「喜び」に関しては格別のものがありますので、充実感をもって仕事を続けていけるというメリットがあるのも、音楽業界の特徴と言えます。
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