アラビア半島や古代エジプトに生活していた野生の猫が人間のペットとなっていったきっかけは、エジプト王朝時代の穀物倉庫を荒らす鼠を獲物とする猫が倉庫に住みついたことでした。
ではこのペット化してきた猫たちはどうやってはるか遠い日本までやってきたのでしょう。
日本に異国の物や文化が入ってくるルートは、有名なシルクロードです。
猫たちもこのシルクロードを旅して来たのです。
順を追って見て行きましょう。
エジプトでは猫を貴重に扱っていたため、持ち出しは禁じられていました。
しかしフェニキアの商人達が旅行中の商品を守るためと、中東やアジアの農業の盛んな土地での鼠よけとして商うために密輸したのではないかといわれています。
また中国に渡った猫の中には、日本へ輸出される仏教の経典を鼠から守るために船に乗船させられた猫がいて、それが日本の猫のルーツであるという説が有力です。
8世紀後半の宇多天皇の日記には猫のことが書かれているそうです。
もちろんペットとしての役割も果たしつつ彼らは本来の狩猟本能を活用して、鼠退治の場での活躍を求められていました。
これはごく最近までそうだった、といっても過言ではないでしょう。
犬がペットとして人間に都合のいいように改良され続けたのに対して、猫はごく一部の例外を除いては、昔のままの野生の本能を残しているのです。
ペットとしては犬のように絶対従順ではありません。
少し気まぐれで限りなく魅力的なペット、それが猫なのです。
[前の記事]・古今東西化け猫事情
[この記事]・猫、海を越える!
[次の記事]・猫のペット史