今ではたいていの小売店、販売店が加盟店契約をクレジットカード会社と結び、クレジットカードを受け入れています。
クレジットカードの加盟店になるには手数料が必要となりますが、「ハウスカード」と呼ばれる自社で発行したクレジットカードなら、店側の利益やメリットはより大きなものになります。
自社発行のクレジットカードとはいえ、小売店があらゆる実務を行なうわけではなく、実際のカード業務を行なうのは子会社のカード会社などであるのが一般的です。
グループ企業のネットワークを持つ大規模小売店などでよく見られます。
ハウスカードは多くの効果を持つものであるため、いろいろな店で発行されるようになりました。
自社発行のクレジットカードは、基本的にその店で使用されることを前提としているため、ハウスカードの契約者が増えれば、店にとっては販売促進の効果を期待できることになります。
また、決められた範囲の中であれば、キャンペーンや特典サービスなども自由な裁量で行なうことが可能になり、顧客の囲い込みにもつながると考えられます。
自社発行のクレジットカードのメリットは、まだあります。
クレジットカードの利用履歴と顧客情報を組み合わせることによって、より効果的な販促活動を行うことが可能になるのです。
ある程度の規模の小売店では、レジにPOSシステムを採用し、商品の管理を行なっているところが多くなっていますが、このPOSデータとハウスカードの売り上げデータがあれば、その店でどのような年齢、性別、住所、勤務先の人がどんな買い物をしたのかが事細かにわかることになります。
この顧客情報は、小売店がよく行なう販促手段であるダイレクトメールの効率を上げるのにとても役立ちます。
一般的なダイレクトメールでは、1パーセント程度の反応があれば上出来と考えられていますが、自社発行のクレジットカードによる顧客情報を駆使すれば、より大きな反応を期待することも可能です。
これまでの買い物の履歴を参考に、その顧客が興味を持ちそうな商品のダイレクトメールを送付したり、年齢や性別、住んでいる地域ごとに違ったダイレクトメールを送付したりすることができるため、顧客にとっても、自分の興味のない、あるいは無関係なダイレクトメールを受け取る煩わしさがなくなるというメリットが生まれてくるのです。
カード会社を介さずに、自社でクレジットカードを発行するケースが増えている背景には、このような事情があるというわけです。
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