郵政民営化時代に入り、郵貯とクレジットカードの関係は今、激変のまっただ中にあるということができます。
1984年からの郵政公社時代、「郵便貯金ジョイントカード」あるいは「郵便貯金共用カード」と呼ばれるカードを郵貯では発行していました。
これは、それぞれのクレジットカードが持つ機能を郵貯のキャッシュカードにプラスして一枚のカードにすることによって、郵貯キャッシュカードの普及を促進させようという目的から発行されてきたものです。
郵貯との共用カードを手がけてきたトップ3は、クレディセゾン、オーエムシーカード、セントラルファイナンスで、全部合わせるとカードの種類は、最も多かった時期にはおよそ150 種類にものぼっていたといわれています。
郵政民営化以降、郵便貯金共用カードはとりやめる流れとなっています。
クレジットカードは、カード利用によってそのカードの発行元に手数料収入が入るという仕組みになっているため、その利益は自前でクレジットカードを発行すれば自社のものとすることが可能であるからです。
郵貯が自前でクレジットカードを発行すれば、手数料収入は当然郵貯に入ることになりますから、そういった流れの中で、郵政民営化以降は郵便貯金共用カードではなく、郵貯独自のクレジットカードを発行することが方針とされたわけなのです。
郵政民営化の前後において、クレジットカード業務は実は大きく変化することになります。
郵政公社に存在していた既存のクレジットカード会社との提携による郵便貯金共用カードと呼ばれるカードは、自前のクレジットカードにその座を譲ることになります。
それまでは、それぞれのクレジットカード会社が担っていたクレジットカード部分の発行や、その後のカード利用に対する事務処理作業といった業務も、今後は自前で行なう必要が出てきます。
郵貯の自前のクレジットカード発行は、既存のクレジットカード会社にとっては大きな驚異となることが予想されます。
郵貯のネットワーク日本全国各地に浸透しているきめ細やかなものであるからです。
郵便貯金共用カードがとりやめの方向になった今、かつて共用カードを取り扱っていたクレジットカード会社の中には、早くもこのカードの既存会員を自社のクレジットカード会員に取り込む方針を打ち出したところもあります。
逆に郵貯サイドでも、郵便貯金共用カードの会員を自前で発行するクレジットカードの会員に取り込もうとする可能性もあり、ここでの会員獲得の競争は熾烈になるものと予想されます。
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